エアー遊具の使用に危険を及ぼす悪天候と安全運営の10ヶ条とは?詳しく解説

エアー遊具の使用に危険を及ぼす悪天候と安全運営の10ヶ条とは?詳しく解説

空気を入れ、ふわふわとした感触を楽しめる子どもに大人気のエアー遊具は、その軽い特質ゆえに、強風などの悪天候時での使用には危険が伴い、最悪の場合には痛ましい事故が起こってしまうケースがあります。

この記事ではエアー遊具の使用に危険を伴う可能性のある悪天候について、過去の事故の事例や、消費者庁による対策、そして、エアー遊具の運営に関する安全運営の10ヶ条についても併せて解説します。

悪天候による痛ましい事故の事例

エアー遊具使用時の事故は、過去に日本国内のみならず、海外でもいくつか発生しています。その事故の原因には悪天候、とくに、強風が関連していることが多いようです。

日本国内では2010年、イベントで屋外に設置されたエアー遊具が風であおられ、遊んでいた子どもが傾いた遊具から落ちて頭部を打ったりして軽傷を負う事故が発生しました。

また、2016年にも公園に設置された、高さ5mある滑り台タイプのエアー遊具が突然の風に吹かれて横転、子どもを含む計13人が負傷する事故がおきました。この事故では消費者庁の調査により、現場担当者が気象庁による事故当日朝の強風注意報を認識しておらず、運営に関するマニュアルに定められていた風速計の携帯も怠っていたことがわかりました。

海外の事例は?

海外の例では2021年にはオーストラリアで痛ましい死亡事故が起こっています。同国タスマニア州の小学校に設置されたエアー遊具が突風で吹き飛ばされ、宙に浮いた遊具の上から児童が転落。5人が死亡、4人が負傷する惨事となってしまいました。

また、同年スペインでもエアー遊具に関連した死亡事故が起きています。スペイン東部でエアー遊具が突風に吹かれて舞い上がり、子どもたちが落下、2人が死亡し、7人負傷してしまう痛ましい結果となっています。
同じような死亡事故は世界各地で起こっており、2019年中国では子ども2人が死亡し、20人が負傷を負う事故も起きています。

消費者庁による対策

エアー遊具の設営や使用に関しては規制する法律がなく、法の規制の隙間に埋もれてしまっている、という現状があります。安全に関する基準を決める管轄省庁すら決められていませんでしたが、前項目ですでに述べた2010年の事故を受け、消費者庁が初の安全指針策定に取り掛かりました。そして、2011年に、一般社団法人「日本エア遊具安全普及協会(JIPSA/Japan Inflatable Products Safety Association)」が策定した「安全運営の10ヶ条」をエアー遊具に関連する企業に通達を行いました。

一般社団法人日本エア遊具安全普及協会はエアー遊具関連企業によって設立。「業界が一丸となり、エアー遊具の安全性に関する取り組みを促進する必要がある」との信念を持ち、エアー遊具に関する安全講習会の実施や、専門家による情報提供などを行なっている非営利団体です。

その後、消費者庁はこちらも前項目で述べた2016年の事故を受け、事故防止対策の推進を地方公共団体や関係省庁に対して依頼しました。その際、消費者庁はエアー遊具の使用で発生してしまう横転事故防止対策のポイントとして、「安全運営の10ヶ条」の尊守を訴えました。なかでも、そのうちの4項目である、「重りの設置」「注意報確認」「風速計」「点検リスト」を徹底することをポイントとして掲げました。

安全運営の10ヶ条

一般社団法人日本エア遊具安全普及協会が策定した安全運営の10ヶ条の2020年2月の改訂版は、以下のようになっています。

  • エア遊具の規模、形状、設置数、メーカーのマニュアルなどを十分に考慮し、利用者の状況把握や安全管理に必要な人数のスタッフを配置すること。配置するスタッフは適宜教育研修を実施し、エアー遊具の取り扱いに関しての知識や技能の習得に努めるようにすること。またイベント使用や屋外設置の場合は、遊具1対について最低1人、高さ4.5m以上の滑り台型の遊具については最低2人を配置すること。
  • 運営スタッフは入退場する客のコントロールや内部監視、エアー遊具周辺の監視が行えるように配置すること。
  • 身長制限や年齢制限をよく理解し、徹底すること。
  • 遊具ごとの定員を確認し、管理を徹底すること。
  • プレイ時間を理解し、時間管理を徹底すること。
  • 入場前に子どもたちに遊び方や禁止行為をしっかり周知すること。
  • 始業前の点検リストに添い、点検項目をしっかり確認、遊具環境の安全を確保すること。
  • ダクト抜け、送風機の吸気口のゴミ詰まりなど、空気の供給ラインに異常がないか常に注意を払うこと。
  • 停電やブレーカー遮断など、電顕の供給ラインの異常がないか運営中は常に注意すること。
  • 屋外の設置では必ず風速計を取り付け、風速基準に沿った運営をすること。てんとう、浮き上がり防止のため、メーカー所定のウェイトか杭を必ず使うこと。また、当該地域で気象庁が発表する注意報や警報の発令がないかどうかを確認すること。屋内設置の場合でも、横転などのリスク防止に対して固定に必要な個数や重さのウェイトを取り付けること。

また、日本エア遊具安全普及協会が定めた「風速基準のガイドライン」では、瞬間風速8メートルを超えた場合にはいつでも運営を中止できるようにしておくことが求められ、瞬間風速10メートルを超えた場合には、利用者を速やかに遊具外から退場させて、運営を中断するよう定められています。

安全運用をするために重要なこと

このように現在では悪天候や安全運用に関しては明確な基準が設けられているため、これらのガイドライン等に沿って運用をすればお客様の安全を守りながら楽しく運用が可能となっているのです。しかしながら、業者の中にはこれらの安全基準に関して熟知していない、もしくはそもそも守らないで運用しているようなところもあるため、業者選びについては慎重に行う必要があるでしょう。

「株式会社Teals」では、「安全運営の10ヶ条」を遵守した運用ができるノウハウや、イベント運用自体についても代行することが可能です。自社での運用に不安がある場合は、ぜひ利用を検討してみてください。

まとめ

エアー遊具の使用に危険を伴う可能性のある悪天候について、過去の事故の事例や、消費者庁による対策、そして、エアー遊具の運営に関する安全運営の10ヶ条についても併せて解説しました。エアー遊具の安全な運営のためにぜひお役立てください。

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